2024.8.9→10:特急アルプスに乗って北陸旅
2024年5月17日、毎シーズン恒例夏の臨時列車が発表された。いつも通り新幹線の増発やら行楽地への変なルートの臨時特急やらが記されているそのプレスの中で一際注目されたのがおそらくタイトルにもある特急アルプスだろう。新宿を深夜に出発し翌朝白馬に着くその様はまるでかつてのムーンライト信州のようだと。
そんな列車だけに初回7/12の運行分は1ヶ月前の10時で瞬殺される人気っぷり。初回は授業期間だったので見送ったが、2回目となる夏休み中の8/9の運行分を知り合いに10時打ちを頼んでみたら取れたので今回はそれに乗ってお出かけしてきた話をする。
今回の旅は夜23時、良い子はとっくにお家に帰って寝静まっているであろう時間の新宿駅からスタートする。
さすがは眠らない街新宿。夜でも人も多いしいろんな人間たちが馬鹿騒ぎしていて騒がしかった。
さて、本題の特急アルプスは新宿駅の7番線、普段は中央快速線の上り列車が使用するホームから出発する。てっきり特急ホームの9,10番線かあるいは下りホームの11,12番線かと思っていた。
ちなみにこの日の前日に南海トラフ巨大地震注意の情報が発表され、中央線は大月〜茅野で徐行、それに伴い遅延・運休が発生されると発表されていた。現に同じ措置を取られた東海道線のサンライズ号は当面運休となっていた。さらに追い打ちをかけるように運転当日には中央線は踏切支障と地震で大幅にダイヤが乱れていた。この列車の運転はかなり危ぶまれていたが、なんとか無事に走ってくれた。
今回使用された車両はE257系2000番台。普段は東海道線の特急踊り子で使用されている。
余談だが、始発の新宿駅や途中の阿佐ヶ谷駅には、深夜だというのにこの列車を目当てにした鉄道オタクが散見された。終電も無くなってくるような時間だが彼らはこのあと無事に帰れたのだろうか?
座席はこんな感じ。(画像は後日撮影しました)
車体の色に似たモケットをしている。座り心地は硬めの可もなく不可もなく…と言った感じだがこれで寝たり5時間乗るのはキツかった。
列車は新宿を発車後、立川、八王子と止まり、八王子の次は松本までドアが開かない。八王子を発車したあと、相模湖を通過する辺りで車内照明が落とされた。
朝4時半ごろ、上諏訪に運転停車。このほか甲府と富士見でも運転停車を行っていた。甲府と上諏訪はホームの照明が付きっぱなしだったが、富士見は消えていた。
空が明るくなり、塩尻のあたりでおはよう放送とともに車内の照明も明るくなった後、朝5時頃に松本に到着。ここでは7分の停車時間があるので降りて外の空気を吸ってみた。気温もかなり涼しくて気持ちよかった。
松本の発車標にはE257系の顔アイコンが。凝った演出だなと思った。
松本を発車し大糸線に突入したのち、信濃大町で下車。今回は終点まで行かずにここで降りた。
信濃大町からは当駅始発の普通列車で南小谷へ。車両はE127系100番台である。新潟から神奈川の工業地帯へ飛ばされたことで話題になったのも同形式だが、この区分は東北の701系と同じ顔をしている。あと車内にはボックスシートがある。
始発なので信濃大町の時点では数十名の登山客だけで車内はガラガラだったが、白馬でアルプスから降りてきた人達が大量に乗ってきて一気に満員になった。
南小谷に到着。やはりまだまだ涼しかった。
南小谷からは大糸北線と呼ばれる区間へ。ここからはJR西日本の管轄に変わり、非電化となる。
やってきたのはキハ120。JR西日本管内のいわゆる限界ローカル線区間は大体この車両が走ってることから一部からは「走る廃線フラグ」などと酷いあだ名をつけられている。あとはやたらコストカットした設計のせいで「西の走るプレハブ」なんてあだ名もあるとか。とかくいい印象が少ない車のようだ。
それはさておき先ほどまでの白馬〜南小谷間の満員の客がほぼ全て乗り込んできたため車内は相変わらず大混雑。一応は増結されていたらしく先ほどまでと同じ2両ではあったが車体サイズの差もあってか密度が上がったような気がした。
この区間は山の中をひたすら進む。さらに電波も駅の周辺以外はろくに通らない有様などととんでもない秘境路線のように感じた。
1時間の乗車を終え糸魚川に到着。ここからは新幹線で一気にワープする。
乗車したのははくたか551号。お馴染みのE7…ではなくW7系で金沢へ抜ける。いつも北陸新幹線はE7系しか来ないのでちょっと嬉しかった。
E7系とW7系は全く同じ見た目をしているが、車内チャイムだけは差があり、E7系がJR東の汎用チャイム(上越新幹線と共通)なのに対してW7系は北陸ロマンが流れるのでちょっと特別感があったりする。
お盆休み序盤ということもあり自由席は富山までほぼ埋まっており、デッキには同じ経路を辿ってきたであろう人達などが溢れていた。また、混雑の影響で4〜5分遅れて運転していた。
1時間ほどの乗車で金沢に到着。以前来た時はここが終点だったが、今年の春に敦賀まで延伸。駅名標も金沢の西隣の小松が追加されていた。
お馴染み金沢駅の鼓門。かなり存在感もあり立派である。
金沢駅から兼六園へ、有名スポットだし東口に兼六園口なんて名前ついてるしさほど遠くないだろとか思っていたら普通に30分歩いてしまった。
こんな感じの庭園である。風情を感じることができた。
灼熱の中30分歩くことに懲りて帰りはバスで金沢に戻り、東へ戻っていく。
乗車したのはあいの風とやま鉄道の521系。2015年の金沢開業時に譲渡されたグループである。これで高岡へと進む。
ところでこの列車、時刻表と金沢の発車標は泊行きと案内していたが車両側と車掌は富山行き、泊へは富山で乗り換えと案内していた。なぜだろうか。
高岡で降りて有名な大仏を見学。探して街中を歩いていたらいきなり現れて結構びっくりした。
再び高岡からあいの風とやま鉄道線。しかしやってきたのはIRいしかわ鉄道の521系だった。金沢〜富山の区間はIRとあいの風の2社の車両が混ざって運用されているようだ。ちなみに乗務員と車両は連動していて、この場合はあいの風とやま鉄道線内にも関わらずIRの乗務員が運転していた。関東の相互乗り入れだと線路の所有と乗務員が連動しているので少し不思議な光景に思えた。
富山で乗り換え。対面接続していたあいの風の521系に乗り換える。先ほど乗ったのはJRから譲渡された車両だったが、ここでは413系を置き換えるために三セクになってから新製された1000番台というグループが来た。
ちなみに、この列車はワンマン運転と書かれていたがなぜか全区間車掌も乗っていた。
泊で同一ホームでの接続を行い、ET122系に乗り換えて糸魚川へ。
えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの区間にはデッドセクションが存在(後述)するため、交直流電車が必須となるが、この区間の需要は単行で賄えてしまうことから製造費が高くつく電車ではなく気動車が使用されている。旧北陸本線は今も貨物のメインルート故、全線複線電化と設備に恵まれているが、そんな区間を単行の気動車が走るのはふしぎな光景に見えた。
再び糸魚川で下車。今度は余裕があったので駅舎を撮影。
次のお目当てまで時間の余裕があったので糸魚川駅側の日本海展望台で海を眺めてみた。今度は夕焼けの時間帯に来てみたいと思った。
糸魚川まで戻ってきて、続いては413系/455系による観光急行に乗車。JR西日本、七尾線で走っていたものをえちごトキメキ鉄道が譲受し走らせている。直江津〜市振を土休日中心に走り、うち糸魚川〜市振間は普通扱いとなり急行料金なしで乗れるといった仕組みになっている。
車内はボックスの青モケットやどこかレトロな中吊り広告などかなりこだわりを感じられた。雰囲気はもはや博物館である。筆者は国鉄時代なんて知らないが国鉄の匂いがムンムンした。
糸魚川〜直江津間の急行料金は500円。急行券は硬券というこだわり仕様。
糸魚川〜市振はあっというまに到着し市振で折り返し。今回私は北陸お出かけtabiwaパスというフリー切符を所持しているため、そのまま折り返しにも乗る。
幕回し。運転範囲になんて到底含まれるはずもない全国各地の行き先が含まれていて、見ていて見応えがあった。画像一番左の西鹿児島は鹿児島中央の、2枚目の平はいわきの旧駅名である。このほか上野や博多なんてものも入っていた。
糸魚川までは来た道を引き返し、糸魚川で10分止まったのち直江津へ向けて発車。急行は直江津までノンストップで走る。
先ほど少し触れたが、えちご押上ひすい海岸〜梶屋敷の間にデッドセクションが存在する。ここで車内の電気が消える。
あとは直江津までノンストップでひたすらに走り続ける。先ほども述べたが複線電化で貨物も行き交う関係で線路状態はかなりよく、国鉄型の爆音モーターが唸りを上げながら爆走していた。
途中有間川付近では海がよく見える区間なのか徐行して運転していた。また有間川駅にもお見送りの人が結構いた。
そうこうしているうちに直江津に到着。なかなか面白く乗車時間はあっという間であった。
直江津からは妙高はねうまラインで上越妙高へ。この区間は元はJR東日本の区間で、車両も元JR東日本のE127系を譲り受けたET127系である。
4駅ほどで割とすぐに上越妙高に到着。
上越妙高からは再び新幹線に乗る。はくたか572号で一気に首都圏を目指していく。
やってきたのはまたまたW7系。しかも大阪万博ラッピングというおまけ付きだった。
途中長野付近では長野総合車両センターで最期の時を待つE217系が車内から見えた。
自由席は長野を出た後軽井沢で相当数が乗り込み大方埋まってしまった。軽井沢は避暑地で有名なので、ここから乗ってきた人たちは都心の狂った暑さから逃れてきた人たちだったのだろうか。
ほぼ徹夜状態だったため途中意識が飛びかけながらも上野に到着。東京まで行かなかったのは上野で降りた方が特急券代が210円安いからというしょうもない理由である。
上野から東京まではお馴染み上野東京ライン。常磐線からやってきたE531系に乗る。常磐線からの便、土休日夜ということもあり車内はガラガラで割とゆったりできた。
東京からは京葉線で帰宅。疲れているのにいらない運を使って209系500番台を引いてしまった。E233系と比べて椅子が硬いからあまり疲れてる時に引きたくなかったのだが…まあ仕方ないことだろうか。
座席夜行、もとい夜行列車には初めて乗ったが車内で寝れない点を除けばかなり楽しかった。次回の運転があるなら白馬のあたりでトレッキングを楽しんだりアルペンルートに乗るなど設定目的に沿った使い方をしてみるのもありだと思った。